数少ない冬鳥として渡来する。
マガン、ヒシクイの中に交じっていることが多い。
府内では、ただ1例の記録があるのみ、
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回数 | 1 |
お茶の「雁が音」
ガンは北から渡ってくるとき木の枝をくわえて飛び、疲れるとその枝を海に浮かべ、上に止まって休む。津軽あたりまで来ると、枝を捨ててさらに南へ渡る。春になると再びその枝をくわえて北へ帰るが、帰れなかったガンも多く、浜にはたくさんの枝が残る。地元の人々はその枝を集めて風呂をたき、帰れなかったガンを供養する。これが「雁風呂」と呼ばれる伝説です。
もちろん、ガンが枝をくわえて飛ぶことはありませんが、日本人好みのせつない話であったため江戸時代に広く伝わり、落語の演目にもなりました。
当時は、ガンのことを総称して鳴き声から「雁(かり)」と呼んだり「雁が音」と呼んでいました。つまり、本種カリガネもマガンもヒシクイもひっくるめて「雁」あるいは「雁が音」と呼んでいたのです。
上記の伝説によって「雁=枝」というイメージができ上ったことから、茎や葉脈が交じった茶葉(右)を「雁が音」と呼ぶようになったのです。
宇治のあるお茶屋さんは、ウェブサイトで以下のように説明しています。
「玉露や煎茶の製造工程で茎や葉脈などを選別したもので、茎茶や棒茶とも呼ばれます。(中略)茎だけがもつ独特の風味と甘味を合わせ持つお茶です。『雁が音』の名は渡り鳥の雁が海上で体を休めるために止まる、浮かぶ小枝に茎の姿形が似ていることに由来すると言われています」。