ほぼ全国的に生息し、山間部の水辺に近い樹洞で繁殖する。
冬期は積雪のある地方や大陸から西日本各地の河川、湖沼などに渡来して越冬する。
京都府内では、夏期に芦生、北山などの渓流や水田で観察されているほか、桂川千鳥ヶ淵、池尻上池などでは巣立ち後の幼鳥がしばしば見られる。
冬期は、久美浜湾、宝ヶ池、天ケ瀬ダムなどでまとまった群れが観察されるほか、舞鶴湾や阿蘇海でも見ることがある。
メスは鋭く大きな声で「クェ、クェ」と鳴く(動画図鑑①参照)。
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
回数 | 15 | 16 | 12 | 11 | 1 | 4 | 2 | 16 | 11 | 8 |
一般的には「おしどり夫婦の由来になるほどだから、オスとメスの仲がいい鳥」と思われていますが、実際には夫婦仲がいいわけではなく、子育てが終わればペアを解消します。では、なぜ「おしどり夫婦」という言葉が生まれたのでしょう。由来は中国の故事にあります。
ある夫婦の妻を暴君が奪ったために夫が自殺しました。それを知った妻も、「夫と同じ墓に葬って欲しい」という遺書を残して後を追いました。怒った暴君は、同じ墓ではなく、少し離れた向かい合わせの墓に葬りました。
すると二つの墓から樹が芽生え、大木に育ち、幹がからみ合い、樹上に一つがいのオシドリが巣を作るようになりました。人々はそのオシドリを死んだ夫婦の生まれ変わりと噂した、という話です。
オシドリは山地の樹洞で営巣しますから、この故事は生態にもかなっています。
なお、「鴛鴦夫婦」という熟語は中国でも朝鮮半島でも、日本と同じ意味で通じるそうです。
アメリカはハクトウワシ、ニュージーランドはキーウィ、韓国はカササギ、日本はキジというように、多くの国が国鳥を定めています。
中国も国鳥を選定するべく、トキを候補に上げましたが、ご存知のようにトキの学名はNipponia nippon。「日本」という名の鳥をシンボルにするわけにはいかないので、学名の変更を申し入れたものの、受け入れられなかったことから、トキ国鳥案は見送られました。
その後、北京オリンピックと上海万博の開催を機に、再び国鳥を選定することになりました。国家林業局と野生動物保護協会が10種類の候補を上げてインターネット投票を実施したところ、投票総数の65%、約330万票を獲得したのはタンチョウ。
ところが、タンチョウは学名がGrus japonensis、英名がJapanese crane。いずれも「日本のツル」という名前の鳥を国鳥にはできないので、またしても見送られました
トキもタンチョウも日本より中国での分布域の方が広いのですが、中国にとって不運なことに、たまたまヨーロッパの博物学者が日本で標本を採取して命名したために、日本の専売特許みたいになったわけです。 中国の国鳥は、結局オシドリに落ち着いたようです。オシドリの英名はMandarin Duck。「マンダリン」とは中国清朝の高級官僚のこと。その正装がオレンジ色だったことからオシドリの名前になったのです。