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比叡山(京都市左京区、大津市)

山地の留鳥と多彩な夏鳥 比叡山

【概況・環境】

ケーブル延暦寺駅前からは琵琶湖が一望できる

 京都市の北東に位置する標高848mの比叡山は、針広混交林やスギ・ヒノキの人工林に覆われています。天台宗総本山・延暦寺があり、寺域一帯約830万㎡が天然記念物鳥類繁殖地に指定されています。夏や冬の多様な渡り鳥をはじめ、1000mを超える山がない京都府では、比較的高い山に生息する留鳥が見られる貴重な探鳥地。ただし、冬季(1月~3月)はケーブルが運休するためアクセスできません。

 1928年、山頂に明治天皇記念碑の建設が計画された際、京都大学の動物学者・川村多実二が反対運動を展開し、その一環として1929年3月に「自然の鳥の声を聴く会」を開催。その後、建設計画は中止されました。1934年に中西悟堂が富士山の裾野で開催したのが日本初の探鳥会とされていますが、その5年前に比叡山で探鳥会が行われていたのです。川村多実二は、1936年に全国初の支部として京都支部が発足した際、初代支部長に就任しました。

 

【鳥相】
 留鳥ではヒガラ、カケス、ミソサザイなど、夏鳥ではコサメビタキ、クロツグミ、オオルリ、キビタキ、センダイムシクイなどが見聞できます。また、キバシリが繁殖しており、スギやヒノキの幹を登る姿が見られます。運が良ければ、上空を飛ぶハチクマやクマタカに遭遇できます。

 

【コース】  *地図はクリックすると大きく表示されます。
 当支部が5月に実施している探鳥会のコースをご紹介します。ケーブル比叡駅から雲母越え(きららごえ)と呼ばれる古道を歩き、スキー場跡に出ると、草原でホオジロがさえずっています。リフト横の斜面を登ると北側の展望が開け、周囲は落葉広葉樹林に。このあたりからキビタキ、オオルリ、クロツグミ、センダイムシクイなどのさえずりが聞こえてきます。

ツツジの群生

つつじヶ丘展望台からは色鮮やかなツツジの群生や、遠く大原や北山の山並みが見渡せます。

「国家鎮護」の石碑が建つ分岐を左に曲がり、旧ロープウェイ跡から西塔駐車場へ降りて釈迦堂へ。このあたりではキセキレイやカケス、上空を飛ぶ猛禽類に遭遇できます。釈迦堂から浄土院へ向かいますが、整備された道を進むと参拝料が必要なので、トイレの左にある山道(東海自然歩道)に降ります。

ミソサザイなどの声を聞きながらアップダウンのある道を歩くと元の整備された道に出ます。浄土院までの針葉樹林ではキバシリを探しましょう。浄土院からキツツキ類をさがしながら長い階段を登ると、山王院。比叡山ドライブウェイの陸橋を渡り、根本中堂や東塔を経て、ヒガラの声を聞きながらゆっくり歩くとケーブル比叡駅に到着します。

 

【ちょっと寄り道】
 釈迦堂付近に2つの歌碑があります。1つは苔むしてほとんど判読できませんが、上述の川村多実二初代支部長の「時ならぬつばきの花をよろこびて めじろ友よぶ山かげの寺」。もう1つは、日本野鳥の会の創設者・中西悟堂の「樹之雫(きのしずく)しきりに落つる暁闇(ぎょうあん)の 比叡をこめて啼(な)くほととぎす」。天台宗の僧侶であった中西悟堂は延暦寺で修業したことがあり、川村多実二とともに探鳥会を開催したり、比叡山の環境保護に取り組みました。

中西悟堂歌碑の案内板

川村多実二の歌碑

中西悟堂の歌碑

*画像はクリックすると大きく表示されます。

                                                 (2024年4月更新)

比叡山(京都市左京区、大津市)詳細情報

おすすめ時期
3月~7月
比叡山へのアクセス
往路:叡山電鉄「出町柳」より「八瀬比叡山口」行きに乗車し、終点下車。徒歩5分で叡山ケーブル「ケーブル八瀬」駅着。ケーブルで「ケーブル比叡」へ上る。
帰路:「ケーブル延暦寺」より坂本ケーブルで「ケーブル坂本」へ降り、徒歩かバスで京阪「坂本」駅またはJR湖西線「比叡山坂本」駅へ。

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