京都市内から容易に行ける山の探鳥地として衆目が一致するのは、やはり大文字山でしょう。銀閣寺の門前(標高約90m)から200mほど進むと登山口、そこから送り火の火床(大の字の横棒、標高約330m)まで約1kmの登りです。火床までは平日も登山する人が多いので、女性でも安心して登れます。
幅の広い道は、はじめ小さな渓流沿いになだらかに上がって行きます。このあたり、両側は杉林で鳥はあまり見られません。前方に砂防ダムがある広場の右の橋を渡り、ジグザグ道を少し登ると尾根に出ます。このあたりで、オオルリのさえずりを聞くことがよくあります。 ここから千人塚までは観察ポイントのひとつで、4、5月頃には高木の梢にキビタキやセンダイムシクイの姿が見られるでしょう。
このコース最大のポイント、千人塚に着いたらしばらく休んで鳥を探しましょう。ハシブトガラスが騒々しいけれど、メジロ、ウグイス、エナガ、カラ類、カワラヒワ、イカル、ホオジロなどの留鳥に加えて、ここでもキビタキ、エゾムシクイ、時にはコマドリやコルリ、アオバト、クロツグミの声や姿を楽しむことができます。 春先ならシロハラが本格的なさえずりを聞かせてくれるでしょうし、5月になればホトトギスやオオムシクイ(旧名メボソムシクイ)、ヤブサメの声も加わります。
千人塚から火床までは約500m、途中に立ちはだかる140段の石段がちょっと厳しいけれど、火床からのすばらしい眺望を楽しみにがんばりましょう。京都市街とその奥の愛宕山や小塩山、ポンポン山、天気がよければ、遠く大阪の高層ビル群まで見えます。 また、ここからは妙法、船、左大文字、鳥居、つまり五山送り火の火床をすべて見ることができます。わかりにくい「鳥居」を見つけたら万歳です。
元気のある人は、火床から約800mの大文字山三角点(465.4m)まで登りたいですね。途中、ツツドリの声、アカゲラやアオゲラのドラミングが聞こえることでしょう。更に足を延ばして、若王子や南禅寺に下りたり、毘沙門堂経由で山科駅までのハイキングを楽しむこともできます。
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