本州中部以北の針葉樹林で繁殖するが、多くは冬鳥として日本全国に渡来する。
京都府では10月下旬に大江山、芦生、八丁平、愛宕山などに飛来し、数十~数百の群れで山地を漂行して採餌する。
やがて山麓にも現れ、春先には平地の林でも観察されるようになる。
スギ、ハンノキ、ヤシャブシなどの種子を好んで食べる姿が4月下旬頃まで見られる。
地鳴きは「ジュイーン」または「チュイーン」。「ジュクジュク」とも鳴く。
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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回数 | 6 | 21 | 13 | 15 | 7 | 14 | 8 |
芥川賞と鳥
1973年の第69回芥川賞は三木卓の『鶸(ヒワ)』。終戦を満州で迎えた貧しい家族が家財道具をすべて売り払う羽目に陥り、ヒワを飼っていた主人公の少年が、他人に渡したくないために籠の中の小鳥を自分の手で殺すという、バーダーにとっては後味の悪いストーリーです。
このヒワが何ヒワなのか不明ですが、作品中の「黒い頭」「のどにある褐色の斑点」「肉色の嘴」という記述から推測するとマヒワのオスのようです。図鑑の分布図を見ると、満州あたりが繁殖エリアになっています。
偶然ですが、この第69回芥川賞にはもう一つ鳥を主題にした作品がノミネートされました。野呂邦暢の『鳥たちの河口』。
こちらは、有明海で鳥の写真を撮り続けている男が主人公。イワミセキレイ、ムネアカタヒバリ、カラフトアオアシシギなどマニアックな鳥の名前が出てきたり、鳥を見る視点がバーダーや野鳥フォトグラファーと同じなので、受賞作の『鶸』よりも感情移入しやすい作品です。
ちなみに、野呂邦暢は第69回では三木卓の『鶸』の後塵を拝しましたが、次の第70回では『草のつるぎ』という作品で芥川賞を受賞しています。