日本全国の農耕地、草地、河原などの地上に営巣する留鳥だが、積雪のある地方のものは南下して越冬する。
京都府内でも冬期は日本海側からは姿を消し、南部では数が増える傾向にある。
地鳴きは「ビュル、ビュル」、さえずりは昔から言われるような「ピーチク、パーチク」のほか複雑な声(動画図鑑①参照)。
上空を舞いながら長い間さえずっている。
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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確率 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.2 | 0.1 | 0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.1 | 0.2 |
夏目漱石とヒバリ
夏目漱石(右)は『草枕』の中で、本種の声をかなり長文で描写しています。
「たちまち足の下で雲雀の声がし出した。谷を見下ろしたが、どこで鳴いてるか影も形も見えぬ。ただ声だけが明らかに聞える。せっせと忙しく、絶間なく鳴いている。(中略)あの鳥の鳴く音には瞬時の余裕もない。のどかな春の日を鳴き尽くし、鳴きあかし、また鳴き暮らさなければ気が済まんと見える。その上どこまでも登って行く、いつまでも登って行く。雲雀はきっと雲の中で死ぬに相違ない。登り詰めた揚句は、流れて雲に入って、漂うているうちに形は消えてなくなって、ただ声だけが空の裡に残るのかも知れない」。
さらに、「雲雀の声を聞いたときに魂のありかが判然する。雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。魂の活動が声にあらわれたもののうちで、あれほど元気のあるものはない」とも書いています。
あの執拗なヒバリのさえずりを、文学者ならではのレトリックや誇張法で巧みに表現しています。