府内では夏鳥として水田,池沼に渡来する。
越冬例もあり、広沢池で冬鳥のクイナと同時に姿を見せたことがある。
朝夕には「クイナの戸たたき」と呼ばれる鳴き声が聞かれる(下段「鳥ビア」参照)。
小学唱歌「夏は来ぬ」の水鶏(くいな)も、ヒクイナといわれている。
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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回数 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 5 | 2 |
戸を叩く音
古典文学の中で、本種の鳴き声は「戸を叩く音」として描かれます。
例えば、藤原定家は「槙の戸をたたく 水鶏(くひな=ヒクイナ)のあけぼのに 人やあやめの 軒のうつり香」(早朝、ヒクイナの声のような戸をたたく音がしたので、軒に出てみると移り香が残っていた)と詠んでいます。
松尾芭蕉にも「この宿は水鶏も知らぬ扉かな」という句があります。
しかし、ヒクイナが夜にけたたましく「キョッ、キョッ、キョキョキョキョ…」と鳴く声は、とても戸を叩く音には聞こえません。
ところが、野鳥の声の録音の第一人者・松田道生さんが一晩中タイマー録音したところ、早朝に「コッ」とか「クッ」という声を1.5秒間隔で出し続けて鳴いていたそうです。昔の人はその声を「戸を叩く音」に例えていたわけです。