MENU

クロツグミ

①クロツグミ♂(撮影:会員)
生 態

南方から渡ってくる夏鳥。
京都府内では4月中旬~5月上旬に低山や市街地の公園などで渡り途中の個体が見られる。
繁殖地は大江山、青葉山、八丁平、芦生、比叡山など。
よく通る声で「キョロイ、キョロイ、コキーヨ、キョコキョコ」などと高らかにさえずる(動画図鑑①②参照)。
山地では9月下旬~10月下旬にも南下していく個体が観察できる。

大きさ・体色
全長:21.5cm 雌雄別色
出現頻度
〇:京都府内で見聞の機会が比較的多い
渡り区分
夏鳥:春に京都府へ渡来して繁殖し、秋に渡り去る鳥
学 名
Turdus cardis. Temminck
英 名
Japanese Thrush
ヒタキ科
京都府RDB
月別記録回数(主に2000~2015年に報告された記録のみを月別に集計したもの)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
回数       28 28 25 16 2   4 2  
写真図鑑
②クロツグミ♂(撮影:会員)
③クロツグミ♂(撮影:野村明)
動画図鑑
①クロツグミ(さえずり)
②クロツグミ(さえずり)
鳥ビア

高村光太郎の詩
高村光太郎が「クロツグミ」と題する詩を残しています。
 
クロツグミなにしやべる。
畑の向うの森でいちにちなにしやべる。
ちよびちよびちよびちよび、
ぴいひよう、ぴいひよう、
こつちおいで、こつちおいでこつちおいで、
こひしいよう、こひしいよう、
びい。
おや、さうなんか、クロツグミ。
 
クロツグミのさえずりはどちらかといえば賑やかで、ここに書かれたような寂しいイメージはありません。
光太郎は優れた彫刻作品や詩を残しましたが、戦争賛美の詩を書いたことから戦後は自責の念に駆られ、岩手県の山中に隠遁して7年間独居生活をします。その中で作られたのが上の「クロツグミ」。
この作品について、詩の研究家・伊藤信吉は以下のように書いています。
 
いかに自己処罰であっても、たった一人の山小屋暮らしは孤独そのものである……そういう精神的孤独の人の耳に、黒ツグミの鳴きごえがきこえる。自分がその黒ツグミなんだ。「こひしいよう、こひしいよう」は、同時に「さびしいよう、さびしいよう」に他ならなかったのである。
 
同じ鳥の声でも、聞く人の境遇や精神状態によって、明るく楽しい声に聞こえたり、寂しく物悲しい声に聞こえたりするということでしょうか。
光太郎の心境を想像しながら上の動画1の声を聞くと、確かに胸が締め付けられるような寂しい声に聞こえます。

本サイトに掲載している野鳥などの画像および映像の著作権は撮影者に、テキストや調査データなどの著作権は当支部に帰属します。無断使用はお断りします。
Scroll Up