ブナやミズナラの茂る山の沢沿いや湿度の高い森の崖地、山中の神社仏閣などで繁殖する。
積雪のある地方のものは平地に降りてくる。
日本で最も小さい鳥の一つだが、声は大きく、クチバシを開いて「チリリリリリ~」と周囲に響き渡るように長い間さえずる(動画図鑑①参照)。
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確率 | 0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.3 | 0.3 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.0 |
おしゃべりしているミソサザイ
広島県に「千福」という銘柄の日本酒があります。そのCMソングには、いろいろな鳥が登場します。作詞サトウハチロー、作曲いずみたく、歌ダークダックス。
♪~グラスをのぞくフラミンゴ 並んで見ている紅雀 千福一杯いかがです
♪~小首を曲げるピーコック おしゃべりしているミソサザイ 千福一杯いかがです
♪~オームにカナリヤ九官鳥 誰かを呼んでる山鳩さん みなさんほんとに千福一杯いかがです
少し略しましたが、外来種を含めて全部で10種類の鳥が登場します。
作詞したサトウハチローとこの酒造メーカーの社長が友だちだった縁でこの歌が生まれたそうです。
宇治では不吉な鳥
「宇治」という地名は、第15代応神天皇の皇太子・菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)に由来するといわれています。宇治市内には、陵墓(右)をはじめこの皇子に由来する旧跡がいくつかあります。
本来なら第16代天皇に即位するはずでしたが、実際には異母兄弟の大鷦鷯尊(おおさざきのみこと)が皇位を継承して仁徳天皇になります。『古事記』や『日本書紀』などの古書には、政争を避けるために自殺して皇位を譲ったとか、仁徳天皇に謀殺されたという記述があるようです。
どちらにしても、宇治にとって仁徳天皇は政敵であり、憎き存在です。その仁徳天皇の昔の名前・大鷦鷯(おおさざき)の「サザキ」とはミソサザイのこと。仁徳天皇が生まれたとき、ミミズクが産屋に飛び込み、同じ日に家臣の妻の出産の際にミソサザイが産屋に飛び込んできたので、それを吉兆と考えた応神天皇が鳥の名を交換してわが子の名前にした、という話が『日本書紀』に記されています。
つまり、仁徳天皇=ミソサザイ。こうした経緯から、宇治ではミソサザイは不吉な鳥とされていて、「ミソサザイが鳴くと悪いことが起こる」と言い伝えられてきたそうです。