安祥寺山は如意ヶ岳とともに山科北部を代表する国有林の山で、入山する人が少ない分、静かなバードウォッチングを楽しむことができます。今回はこの山の林道を歩くコースをご紹介しましょう。
山科駅から北へ30分ほどで毘沙門堂前。川沿いに左へ進み、大文字山登山道を過ぎて少し進むと、林道段之谷線のゲートに着きます。ゲートの脇を抜けて谷沿いに登っていくと、右手に砂防ダムが見えます。林道は左右にカーブしながら高度を上げていきますが、標高約350mの最高点を過ぎると下り坂になり、約1kmで林道本線に合流します。
そのまま下っていけば、本線ゲートを経て、毘沙門堂前に戻ることができます。逆に本線を右に登ってゆくと、500mほどで終点に着きます。突き当りの細い山道に入るとすぐに展望台。左右に山科と京都の両市街が見えます。
展望台とはいいますが、実は山火事があって眺めがよくなったのだそうです。展望台からは、日向神宮を経て蹴上に下りたり、大日山を経て大文字山まで縦走することができます。また、段之谷線最高点手前右の山道(尾根道)は、大文字山への最短コースで、ここから約1km歩けば三角点まで行けます。
さて、安祥寺山ではどんな鳥たちが見られるのでしょうか? カラ類など、普通種の留鳥は省略しますが、まず、春には渡ってきた夏鳥たち。ツツドリ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、クロツグミ、コマドリ、キビタキ、オオルリなどが愛の歌を聞かせてくれます。サンコウチョウやアカハラに出会うこともあります。シロハラ、ツグミ、ルリビタキ、クロジなど、まだ残っている冬鳥たちも姿を見せ、時にはぐぜりが聞けます。
キツツキ類(コゲラ、オオアカゲラ、アカゲラ、アオゲラ)やアオバトも周年よく出現します。アトリ科のウソ、ベニマシコ、シメ、イカルも生息しており、今年の2月には4年ぶりにハギマシコ5羽が記録されました。
山科駅から林道ゲートまでは、住宅地を通る道や疏水べりで、ツバメ、ジョウビタキ、メジロ、セキレイ類などに出会えるでしょう。
そのほか、オオタカやノスリなどのタカ類、アオジやミヤマホオジロなどのホオジロ類も期待できます。