宮津市の北西部、標高400~600mの世屋高原。
2007年の丹後天橋立大江山国定公園の誕生に際して、上世屋地区を中心とした一帯が里山としては初めて自然公園の指定を受けました。
日本の原風景ともいわれる里山は、山村の人々と自然の相互作用によって形成され維持されてきた二次的自然や生活文化の総体で、多種多様な環境がモザイク状に組み合わさっているのが特徴です。
世屋高原には茅葺き民家の上世屋集落を中心に、棚田や棚田跡の湿地、畑地、草地、落葉広葉樹林やスギ、ヒノキの植林地、沢など里山のさまざまな環境がよく残されており、近年つくられたレクリエーション施設や国営農地周辺も含め、多様な里山環境下での野鳥観察ができます。岳山(637m)の頂上に上れば世屋高原が一望できます。
この地域は冬の積雪が3mを超えることも珍しくない有数の豪雪地帯。観察の適期は4月中旬以降になります。秋には岳山を越えて行く冬鳥の群れも見られます。
観察ルートは岳山周辺がおすすめです。宮津市の宿泊施設(しおぎり荘)からキャンプ場(落葉広葉樹林)―松尾田んぼ―家族旅行村(草原)―岳山北麓の市道(落葉広葉樹林)―木子集落―国営農地(草原・畑地)…のように、時間や移動手段に合わせていろんな環境をつなぐといいでしょう。
これまでに確認できた鳥は約70種。
よく会うのは、サシバ、ハイタカ、キジ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、サンショウクイ、ウグイス、キビタキ、オオルリ、シジュウカラ、ヤマガラ、ホオジロ、カシラダカ、カワラヒワ、イカルなど。時にはクマタカ、ノスリ、サンコウチョウ、ムギマキの姿や、ヨタカ、アカショウビン、ビンズイ、ヤブサメなどのさえずりも。
また野鳥観察と併せて里山暮らしの知恵や里山の景観、過疎・高齢化の中で村を守ろうと頑張る人々の姿にふれるのもいいと思います。